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Arabic

1

一 おお心霊の子よ!

わが第一の忠言はこれである。即ち、純粋にして優しく、また輝かしき心を持て。さらば古(いにしえ)よりつづく不朽にして永遠なる主権は汝のものとならん。

2

二 おお心霊の子よ!

総てのもののうち、わが目に最愛なるものは正義である。汝もし、われを求むならば、正義にそむくな。またわれ汝を信頼し得るよう、それを等閑(なおざり)にするな。その助けにより、汝、他人の眼(まなこ)ならぬ汝自らの眼(まなこ)にて見、隣人の理解力ならぬ汝自らの理解力にて知らん。汝の心のうちに熟考せよ。汝はいかにあるべきかを。まことに正義こそは、わが汝への贈り物であり、わが慈愛のしるしである。さらば、それを汝の目前に置け。

3

三 おお人の子よ!

わが太古よりの存在と、わが本質の不変の永遠性に包まれて、われ汝への愛を知った。さればこそ、われ汝を創った。汝の上にわが面影を刻み、汝にわが美を現わした。

4

四 おお人の子よ!

われ汝の創造を愛した。さればこそ、われ汝を創った。されば汝、われを愛せよ。われ汝の名を呼び、汝の魂を、生命の生気もて満たし得んがために。

5

五 おお実在の子よ!

われを愛せよ。さらばわれ汝を愛し得ん。もし汝、われを愛さずば、わが愛は、決して汝に達するを得ず。これを知れ、おお僕よ。

6

六 おお実在の子よ!

汝の楽園は、わが愛である。汝の天の住家(すみか)は、われと再び融和することにある。その中に入れ、ためろうな。これぞわが天上の王国にて、またわが崇高なる国土にて、汝のために定められたるところである。

7

七 おお人の子よ!

もし汝われを愛せば、汝の自我に背を向けよ。またもし汝わが歓びを求むるならば、汝自身のよろこびを重んずるな。さらば汝、わがうちに死に、われ汝のうちに永遠に生きるを得ん。

8

八 おお心霊の子よ!

汝自らを放棄し、われに目を向けるより他に、汝の安息はなし。何故なら、汝自らの名でなく、わが名に栄光あらしめることと、汝の信頼を、汝自らにでなく、われにおくこととは、汝の務めであるからである。またわれ一人あらゆる他のものよりも愛されることを欲するからである。

9

九 おお実在の子よ!

わが愛は、わが砦である。その中に入る者は安全にして無事である。それより背き去る者は、必ず道に踏み迷い、滅びに到らん。

10

十 おお言葉の子よ!

汝はわが砦である。この中に入れ。されば汝安らけく留るを得ん。わが愛は汝のうちにある。それを知れ。されば汝、われを汝の身近に見出すを得ん。

11

十一 おお実在の子よ!

汝はわがランプであり、わが光は汝のうちにある。汝それより汝の光を得よ。そしてわれ以外に何ものをも求むるな。われ汝を豊かに創り、汝にわが恵みを惜しみなく注ぎたれば。

12

十二 おお実在の子よ!

権威の手もて、われ汝を造り、威信の指もて、われ汝を創り、なお、われ汝のうちに、わが光の真髄を置いた。汝それに満足せよ。そして他に何物も求むるな。わが業は完全にして、わが命令は免がれ得ざれば。何故(なにゆえ)と問うな。また疑いも抱くな。

13

十三 おお心霊の子よ!

われ汝を豊かに創れるに、何故(なにゆえ)汝自ら貧しくするや。気高くわれ汝を造れるに、何故(なにゆえ)汝自ら卑しくするや。知識の精華(せいか)もて、われ汝を生ぜしに、汝何故(なにゆえ)にわれより外の者に教化を求むるや。愛の粘土もて、われ汝を造りしに、汝何故(なにゆえ)に他のものに没頭するや。汝の眼(まなこ)を汝自らに向けよ。されば汝、汝のうちに威光に輝やき力強く自存(じそん)しつつあるわれを見出さん。

14

十四 おお人の子よ!

汝はわが領土である。わが領土は滅びることなし。汝何故(なにゆえ)に汝の滅びることを恐れるや。汝はわが光である。わが光は決して消されることなし。何故(なにゆえ)汝消滅を畏れるや。汝はわが栄光である。わが栄光は萎(しぼ)むことなし。汝はわが衣服である。わが衣服は決して古(ふ)るびることなし。さればわがための汝の愛の中に住まえ汝われを栄光の国士の中に見出すを得ん。

15

十五 おお言葉の子よ!

汝の顔をわが顔に向けよ。そしてわれより他の総てを放棄せよ。わが主権は永続し、わが領土は滅びることなければ、よし汝われより,他のものを求めんとし、更にまた宇宙を永久に探し求めようとも汝の探索は徒労に帰さん。

16

十六 おお光の子よ!

われより他の総てを忘れ、わが霊と交われ。これわが命令の真髄である。それ故それに面を向けよ。

17

十七 おお人の子よ!

われに満足せよ。われの他に救い手を求むるな。われより他の何ものも決して汝を満足させること能わざれば。

18

十八 おお心霊の子よ!

われ汝のために欲せざることを、われに求むるな。われ汝のために定めたるものにて満足せよ。もし汝それに満足せば、そは汝を利するものなれば。

19

十九 おお不思議なる幻影の子よ!

われ汝のうちに、われ自身の聖霊を吹き込んだ。汝わが愛する者とならんがために。汝何故(なにゆえ)にわれを見棄て、われより他に愛するものを探し求むるや。

20

二+ おお心霊の子よ!

汝へのわが要求権は大である。それを忘れてはならない。汝へのわが恵(めぐみ)は豊富である。それを覆いかくすことは出来ない。わが愛は汝のうちに住まっている。それをかくすことは出来ない。わが光は汝に明らかに示されている。それをかくすことは出来ない。

21

二十一 おお人の子よ!

光輝(こうき)ある栄光の木に、われ汝のために撰(え)り抜きの果実を実らせた。汝何故(なにゆえ)にそれに見向きもせず、それより劣れるものにて満足するや。天上の国土において汝のためによりよきものへ帰れ。

22

二十二 おお心霊の子よ!

われ汝を気高く創った。しかるに汝は自らを卑しくした。さらば汝が創られたるところにまで汝を高めよ。

23

二十三 おお至高なる者の子よ!

われ汝を永遠なるものへと招いている。しかるに汝は滅ぶるものを探し求めている。なにが汝をしてわが望むものから眼(まなこ)をそらせ、汝自らの欲するものを求めさせしや。

24

二十四 おお人の子よ!

汝の分を越えるな。汝にふさわしからざるものを要求するな。威信と権威の主なる汝の神の御顔の前にひれ伏せ。

25

二十五 おお心霊の子よ!

貧しき者に汝自らを誇るな。われ貧しき者を道すがら導き、悪しき状態にある汝を見て永久に汝を辱(はず)かしむれば。

26

二十六 おお実在の子よ!

いかにして汝、自身の欠点を忘れ、他の人々の欠点を挙ぐるに急なるを得るや。何人がこれをなすも、わが呪いを受けん。

27

二十七 おお人の子よ!

汝自身罪人である間は、他人の罪をささやくな。汝この命令に背くならば、呪われん。われこれを証言す。

28

二十八 おお心霊の子よ!

汝まことに知れ。人々に正しくあれと命じながら自ら不正を行う者は、われに係わりなし。たとえその者がわが名をふりかざすとも。

29

二十九 おお実在の子よ!

汝が自身の責任にされたくないことを、汝の何人の責任にもするな。また汝がしないことを言うな。これわが汝への命令である。

31

三十一 おお実在の子よ!

決算の日の来るまでは、日毎に汝自らを反省せよ。予告なき死は汝を訪ずれ、汝は汝の為したることの決算をすべく召されんに。

32

三十二 おお至高なるものの子よ!

われ死を汝への歓びの使者とした。汝いかなれば死を悲しむや、われ汝を照らすために光を創った。何故(なにゆえ)に汝その光から自身を蔽うや。

33

三十三 おお心霊の子よ!

光のうれしい便りもて、われ何時に喜べ!と呼びかく。聖なる宮廷にわれ汝を招く。永久に平安に暮らせるよう、そこに住まえ。

34

三十四 おお心霊の子よ!

神聖なる霊は汝に再び融和するとの嬉しい便りを伝う。何故(なにゆえ)汝悲しむや。威力ある聖霊は汝を神の教えに強からしむ。汝何故(なにゆえ)に自らを蔽うや。神のみ御顔の光は汝を導く。汝いかなれば迷い得るや。

35

三十五 おお人の子よ!

汝われより遠く離れていること以外に悲しむな。汝われに近づき、わがもとに帰り来つつあること以外に喜ぶな。

36

三十六 おお人の子よ!

汝われに会い、わが美を反映するにふさわしくなれるよう汝の心に喜びを持て。

37

三十七 おお人の子よ!

わが美(うる)わしき衣を脱ぐな。わが不思議なる泉より汝の分け前を失うな。永遠に喉かわかぬために。

38

三十八 おお実在の子よ!

わが愛のため、わが律令の中を歩め。もし汝わが喜びを求むるならば、汝の欲することを自制せよ。

39

三十九 おお人の子よ!

汝もしわが美を愛するならば、わが命令を等閑(なおざり)にするな。また汝もしわがよき喜びを得んと欲せば、わが忠言を忘れるな。

40

四十 おお人の子よ!

汝無限の空間を通り、広大なる天空を横切ろうとも、汝はわが命令に服従し、わが顔の前にへりくだる以外に安息は見出せないであろう。

41

四十一 おお人の子よ!

わが教えを賛美せよ。われ汝にわが偉大なる神秘を示し、永遠の光もて汝を照し得んがために。

42

四十二 おお人の子よ!

わが前にへりくだれ。さればわれ汝を恵み深く訪わん。わが教えの勝利のために立て。されば汝この世にて勝利を得ん。

43

四十三 おお実在の子よ!

わがことを、わが天上にて述べよ。さればわが天上にて、われ汝を記憶せん。かくてわが眼(まなこ)と汝の眼(まなこ)は慰められん。

44

四十四 おお玉座の子よ!

汝の耳はわが耳である。汝その耳もて聞け。汝の眼(まなこ)はわが眼(まなこ)である。汝その眼(まなこ)もて見よ。されば汝、汝の深奥(しんおう)なる魂のうちに、わが崇高なる神聖を証明し、またわれ自らのうちに、汝のため気高き地位を証言せん。

45

四十五 おお実在の子よ!

わが道に殉教せんことを求めつつ、わが喜(よろこび)をもて満足しわが定めしことに感謝せよ。されば汝われとともに、栄光の神殿の後なる荘厳なる天蓋の下に安息するを得ん。

46

四十六 おお人の子よ!

熟考し反省せよ。汝の願望は汝の寝所に死することなりや、或いはわが道に殉教し、汝の生き血を塵の上に流すことにより、至高なる楽園にて、わが命令の顕示者となり、わが光の啓示者となることなりや。正しく判断せよ。おお僕よ!

47

四十七 おお人の子よ!

わが美にかけて誓う!汝の血もて汝の毛髪を染めることは、わが眼(まなこ)には宇宙の創造よりも、二つの世界の光よりも偉大である。されば、それに到達せんと努めよ。おお僕よ!

48

四十八 おお人の子よ!

総てのものには標(しるし)がある。愛の標(しるし)は、わが掟のもとでは不屈(ふくつ)不撓(ふとう)の精神となり、わが試練の下では堅忍(けんにん)不抜(ふばつ)となる。

49

四十九 おお人の子よ!

真の愛人は艱難(かんなん)を慕うものである。あたかも反逆者が寛恕を求め、また罪深きものが、慈悲を切望する如くに。

50

五十 おお人の子よ!

もし不幸が、わが道で起らなかったとしたら、汝いかにして、わが喜びに満足している人々の道を歩み得るや。もし試練が、汝のわれに会いたしとのあこがれにおいて、汝を苦しめないならば、汝いかにして、わが美への汝の愛の光に達するを得るや。

51

五十一 おお人の子よ!

わが災厄は、わが配慮である。外見は火であり、復讐である。しかし内面は光明と慈悲である。それに向って急げ。さらば汝永遠の光となり、不滅の精霊となるを得ん。これわが汝への命令である。これを守れ。

52

五十二 おお人の子よ!

汝繁栄の中にあるとも喜ぶな。汝またおちぶれるとも悲しむな。二つながら過ぎ去り、消え去るものなれば。

53

五十三 おお実在の子よ!

もし貧困が汝を襲うとも悲しむな。早晩富(そうばんとみ)の主が汝を訪づれるであろうから。屈辱を恐れるな。神の栄光がいつか汝の上に止まるであろうから。

54

五十四 おお実在の子よ!

もし汝の心が、この永遠不滅の領土と、この古来永劫に続く生命を得んと決めたならば、この朽つべき束の間の主権を見棄てよ。

55

五十五 おお実在の子よ!

この世のことで、あくせくするな。われ火もて黄金を試し、また黄金もてわが僕等を試さんに。

56

五十六 おお人の子よ!

汝黄金を欲し、われ汝それより自由ならんことを欲す。汝は黄金の所有により、自らを富めりと考え、われは汝がそれより高潔ならんことに汝の富を認む。わが生命にかけて誓う!これはわが知識であり、そは汝の幻影である。いかにわが道、汝の道と一致し得るや。

57

五十七 おお人の子よ!

わが富を、わが貧しき者に与えよ。されば汝天国に於て、不滅の輝やきの倉庫と不朽の栄光の宝庫より引き出し得ん。しかしわれ生命にかけて誓う!汝もし只わが眼(まなこ)をもちて見ることを得ば、汝の魂をささげることは更に輝かしいことである。

58

五十八 おお人の子よ!

肉体の神殿は、わが玉座である。あらゆるものよりそれを浄めよ。さればそこにわれ即位し定住せん。

59

五十九 おお実在の子よ!

汝の心はわが家である。わが降臨のためにそれを潔めよ。汝の精神はわが啓示の場である。わが顕現のためにそれを浄めよ。

60

六十 おお人の子よ!

汝の手をわが胸に入れよ。さればわれ汝の上に輝かしく、また美々しくたち上ることを得ん。

61

六十一 おお人の子よ!

わが天国に昇れ。されば汝われと再び融和することの喜びを得、不滅の栄光の聖杯より類いなき美酒を心ゆくまで飲むことを得ん。

62

六十二 おお人の子よ!

汝が汝の気まぐれと、とりとめのない妄想に没頭せし間に長き歳月は過ぎ去った。汝寝所にていつまでいる気ぞ。ねむりより醒めて汝の頭を上げよ。太陽は中天に上り、恐らく美しき光もて汝の上を照らしおれば。

63

六十三 おお人の子よ!

光は聖なる山の端より汝を照らし、教化の精霊は汝の心のシナイ山で息吹いた。それ故愚かしき妄想のべールを払いのけ、わが宮廷に入れ。さらば汝永遠なる生命をうけるにふさわしく、われに会うに足るものとならん。かくて死は汝の上に来(きた)らず、疲労も苦悩もなからん。

64

六十四 おお人の子よ!

わが永遠性は、わが創造である。われ永遠性を汝のために創った。それを汝の殿堂の装いとなせ。わが統合は、わが作りしものである。われそれを汝のために作った。汝自らそれをまとえ。さらば汝永久に、わが永遠の実在の啓示となるを得ん。

65

六十五 おお人の子よ!

わ が威厳は汝へのわが贈物である。またわが威光は汝へのわが慈悲のしるしである。われにふさわしきことを何人も理解できず、また誰も語り得ない。まことに、 われそれを、わが僕への慈愛のしるしとし、またわが人民への慈悲のしるしとして、わがかくされたる倉庫の中に、またわが命令の宝庫にしまいおきたれば。

66

六十六 おお神聖にして見えざる真髄の子等よ!

汝等われを愛することを妨げられるであろう。また魂は、われに就て語る時かき乱されん。理性はわれを理解し得ず、また心はわれを容れ得ざれば。

67

六十七 おお美の子よ!

わが精神とわが恩寵にかけて誓う!わが慈悲とわが美にかけて誓う!権威の舌もて、わが汝に啓示せる総ては、また威信のペンもて汝のために書きし総ては、汝の能力と理解に一致させたものであり、わが地位とわが声の旋律に合わせたものではない。

68

六十八 おお人の子等よ!

何故(なにゆえ)われ汝らを同一の土くれより創れるかを知るや。何人も他より自らを高しとなすべきにあらざるためなり。常に汝の心のうちに、如何(いか)にして汝創られしかを熟考せよ。われ汝等総てを同一の物質より創りし故、汝らひとつの魂のごとく、同一の足をもって歩み、同じ口で食し、また同じ国土に、住む義務がある。されば汝等の最奥(さいおく)なる本質より、汝等の行為と行動より、一元性のしるしと、世俗超脱の真髄が明白とならん。これぞわが汝への忠言である。おお光の群集よ!この忠言を心に留めよ。さらば汝等不思議なる栄光の木より聖なる果実を入手し得ん。

69

六十九 おお汝等心霊の子等よ!

汝等はわが宝庫である。われ汝のうちに、わが神秘の真珠とわが叡知の宝石を秘蔵したれば。わが僕等のうちの異邦人と、わが人民のうちの邪悪なる者等から、それらを守れ。

70

七十 おお自身の王国にて自身の本質によりて立つ神の子よ!

汝これを知れ、われ汝に聖なる芳香のすべてを送り、汝にわが言葉を完全に啓示し、汝を通じてわが恩恵(めぐみ)を完成し、われ自身のために欲せしものを汝のために欲せしことを。さればわが喜びに満足し、われに感謝せよ。

71

七十一 おお人の子よ!

われ汝に啓示せる総てを、汝の心霊の書簡に、光のインクもて書け。もしそれが汝の力に及ばざる時は、汝の心の精華(せいか)もて汝自らのインクを造れ。もし汝これをなし得ざれば、わが道にて流されたるかの深紅のインクもて書け。実にこれこそわれにとりて他の総てのものより一層快く、その光は永久に存続せん。

Persian

1

一 おお汝等知る心と聞く耳を持つ人々よ!

敬愛さるる者の第一の呼びかけはこれである。おお神秘なる鶯(うぐいす)よ!心霊のバラ園以外に住まうな。おお愛のソロモンの使者よ!大いに愛さるるもののシバ以外に隠れ場を求むるな。おお不滅の不死鳥よ!誠実の山以外に住まうな。汝もし汝の魂の翼に乗り無限の領土に舞い上り、汝の目的を達せんことを求むるなら、かしここそ汝の住家(すみか)である。

2

二 おお心霊の子よ!

鳥は巣を求め、鴬はバラの魅力を求む。しかるに人々の心の鳥は、儚い(はかな)塵に満足して、その永遠の巣より遠くさまよい出で、無思慮の泥沼の方へ視線を転じ、聖なる神の御前の栄光を失っている。ああ!何と奇妙なことであり、哀れむべきことである。ただ一杯を口にせんがために彼等は天上のさかまく海より眼(まなこ)を転じ、最も光り輝く地平線 より遠い所に居残っている。

3

三 おお友よ!

汝の心の花園に愛のバラしか植えるな。愛情と願望の鶯(うぐいす)から汝の手を放すな。正しき者との交わりを大切にせよ。されど邪(よこし)まなる者との総ての親交を避けよ。

4

四 おお正義の子よ!

愛する者が愛さるる者の国以外のどこへ行き得ようか。どの探求者が自分の心に欲するものから遠ざかって安息を見出すや、まことの愛人には融和こそ生命であり、別離は死である。彼の胸には忍耐が欠けている。また心には平安がない。彼の愛する者の住家(すみか)に急ぐためには幾百千の生命も捨てるであろう。

5

五 おお塵挨(じんあい)の子よ!

われまことに汝に告ぐ。あらゆる人間のうち最も怠慢なるものは、愚かなる争いを行い兄弟より自ら優らんことを望む者である。言あげよ、おお兄弟達よ!言葉にあらずして、行いをもちて汝の飾りとせよ。

6

六 おお地の子よ!

まことにこれ知れ。少しでも妬みが残っている心は決してわが永遠の領土に達することを得ず。またわが聖なる王国から香り出づる神聖の甘き香りを吸うことは出来ないであろう。

7

七 おお愛の子よ!

汝は天上の輝かしき丘より、また天上の愛の木よりただ一歩だけ遠のいている。一歩踏み出せ。そして第二歩で不滅の領土に進み、永遠の館に入れ。かくて栄光のペンによりて啓示されたるものに 耳傾けよ。

8

八 おお栄光の子よ!

聖なる道に急ぎ、われと親交し得る天国には入れ。心霊もて汝の心を磨き浄め、最高なるもの宮廷に急げ。

9

九 おお儚なき影よ!

疑いの低き段階を過ぎて、確信の崇高なる丘に登れ。真理の眼(まなこ)を開け。さらば汝明らけき美を見、かく叫ばん「総ての造物者中最も卓越せる主のあがめられんことを!」

10

十 おお欲望の子よ!

これに耳を傾けよ。朽つべき眼(まなこ)は決して永遠の美を認めないであろう。また生なき心は萎(しぼ)んだ花しか楽しまないであろう。何故(なにゆえ)なら似たるものは似たるものを求め、同類との交りを好むから。

11

十一 おお塵埃(じんあい)の子よ!

汝の眼(まなこ)を盲(めくら)に せよ。さらば汝わが美を見ん。汝の耳ふさげよ。さらば汝わが声の快よき音調を聞かん。汝自身から総ての知識をなくせ。さらば汝わが叡知の分け前を受けん。 富より汝自身を浄めよ。さらば汝わが永遠の財宝の海より永久の分け前を得ん。汝の耳をふさげとは、わが言葉の総てに対してである。汝自身から総ての知識を なくせとは、轡夢ふさげとは、わが叡知以外の総てに対してである。かくて汝清き眼(まなこ)と、純潔なる心と、注意深き耳とをもちて、わが神聖なる宮廷に入ることを得ん。

12

十二 おお二つの視覚を持つ者よ!

一方の眼(まなこ)を閉じ他方の眼(まなこ)を開らけ。一つはこの世界とその中にある総てに対して閉じ、他は敬愛さるる者の聖き美に対して開け。

13

十三 おおわが子等よ!

わが恐るるは汝等天上の鳩のメロディを聞かず全くの損失の陰に再び落ち込み、バラの美を見ることなく水と土に帰(き)することである。

14

十四 おお友等よ!

消滅せねばなら美のために、永遠の美を捨てるな。またこの滅ぶべき塵の世に愛着を持つな。

15

十五 おお心霊の子よ!

聖なる鶯(うぐいす)が、もはや心奥の神秘を開くことが出来ず、汝ら総てが天上のメロディと天上よりの声を奪われるときが来ている。

16

十六 おお怠慢の真髄よ!

幾百千の不思議なる言葉は一つの発言で語られ、また幾百千の隠されたる神秘は一つのメロディーのうちに現わされている。ああ、しかし、それを聞く耳はない。それを知る心もない。

17

十七 おお仲間よ!

超空間に通じる門は広く開いている。愛さるる者の住家(すみか)は、愛するものの血で飾られている。しかも少数を除く総てのものは、この天上の町のから、とり残されたままでいる。これら少数者の中にさえ純潔なる心と聖き霊を持つものは極めて僅(わず)かである。

18

十八 おお汝等最も高き楽園の住人達よ!

神聖なる領土内の天上の楽園に近く、一つの新しき花園出現し、その周囲を高きにある領土の人々と崇高なる楽園の不滅の住民達が、とり捲(ま)いていることを、確信の子等に宣布せよ。されば汝等その地位に到達し、アネモネの花より愛の神秘を解きあかし、神聖にして無上なる秘密をその永遠の木の実より学ぶよう努力せよ。そのうちに入りて住まう人々の眼(まなこ)こそ慰められん。

19

十九 おおわが友等よ!

神聖にして祝福されたる環境のもと、あの栄光に輝く楽園に植えられし生命の木の陰で、わが面前に汝ら総てが集まりしあのまことの輝かしき朝を忘れしや。われこれら三つの最も神聖なる言葉を述べしとき、汝らは畏れかしこまって聞いた。即ち「おお友等よ!わが意志を措(お)いて汝の意志を選ぶな。汝のためわが欲せざりしものを決して欲するな。世俗の欲望や欲求で汚された生命なき心もて、われに近づくな。」

汝等もし汝等の魂を浄めさえするならば、汝等は今あの楽園とあの周辺を思い出すであろう。またわが言葉の真理は汝等総てに明白とならん。楽園の第5書簡の最も神聖なる第八行目に彼は次のごとくの宣(のたま)う。

20

二十 おお汝等軽率の床に死人の如く横たわる人々よ!

多 くの年月は過ぎ去り、汝等の貴重な生命は、ほとんど終わりに近づいている。しかも汝等のただ一つの清い呼吸もわが聖なる宮廷には届いていない。間違った信 仰の海に沈められてもなお汝等は、その唇もて神への唯一なるまことの信仰を告白している。わが嫌うものを汝等は愛した。またわが敵を汝等は友とした。され ども汝等は、わが地上を得意になり自己満足して歩んでいる。わが土地が汝等に飽き、そこにある総てのものが汝等を避けていることに気づかない。

もし汝等眼(まなこ)を開きさえするならば、わが嫌うものを汝等は愛した。またわが敵を汝等は友とした。されども汝等は、わが地上を得意になり自己満足して歩んでいる。わが土地が汝等に飽き、そこにある総てのものが汝等を避けていることに気づかない。もし汝等眼(まなこ)を開きさえするならば、まことにこの喜びよりも無数の悲しみを選ばん。またこの生命よりも寧(むし)ろ死をより好ましく思わん。

21

二十一 おお浮動する塵埃(じんあい)よ!

わ れ汝と霊の交わりをなさんと欲す。されど汝はわれに信頼を置こうとはせず。汝の叛逆の剣は、汝の希望の木を切り倒した。われは常に汝の傍らにいる。されど 汝は常にわれより遠くにいる。われ汝のため不滅の栄光を選んだ。しかも汝は汝自らのために、はてしなき恥辱を選んだ。間に合ううちに帰り来(きた)って汝 の好機を失うな。

22

二十二 おお欲望の子よ!

知 識あり知恵ある人々が、長い年月の間努力したが、いと栄光あるものの面前に達することは出来なかった。彼等は神を求めて生涯を費した。しかもなお神の面影 の美を見はしなかった。されど汝は何の努力もせずに汝の目的を果し、また探求することなしに、汝の追求の目的を達成した。されども汝は自我というべールに 包まれたままであるので、汝の眼(まなこ)は敬愛さるる者の美を見ず、汝の手は神の衣服の裳(すそ)にも触れなかった。眼(まなこ)を持つ汝等は見よ、そして不思議に思え。

23

二十三 おお愛の市(まち)の住人達よ!

死の風は永遠の燭火(しょくか)を襲い、天上の青春の美は塵挨(じんあい)の闇に蔽われている。愛の王中の王は暴虐なる人々のために虐待され、聖なる鳩は梟(ふくろう)の爪にとらえられている。栄光の館の住人達と天上の集いの人々は歎き悲しんでいる。しかるに汝等は怠惰の国に安臥(あんが)して汝自らを真の友人達の仲間と考えている。汝等の想像のいかに空しきことよ!

24

二十四 おお汝等賢いという名を持つ愚者等よ!

汝ら内心は、わが羊の群れを襲わんとする狼なりしに、なにゆえ羊飼いの衣を着るや。汝等は曙に先だちて上る星の如きものであるそれは輝きて明るく見ゆれど、わが市(まち)の旅人等を導びきて破滅の道に迷い入らせるものである

25

二十五 おお汝等外見は美しく、内面は汚れたる者達よ!

汝等は透明なれど苦き水の如くである。それは外観は水晶の如く清く見ゆれど、聖なる分折者により試めされる時は、その一滴さえも受け入れられぬものである。然り、太陽の光は塵挨(じんあい)の上にも鏡の上にも同様に注がれる。しかも星が地球と違う如く、それ等は反射に於て異っている。否その相違は測り知れないほどである。

26

二十六 おおわが言葉の友よ!

しばし熟考せよ。友と仇とが一つの心の中に住めるなどと汝かって聞きしことありや。されば友が自身の家に入れるように、その見知らぬ者を遂い出せ。

27

二十七 おお塵挨(じんあい)の子よ!

天と地にある総てのものをわれ汝のために定めた。ただ人間の心は別である。そこを、わが美と栄光の住家(すみか)とした。しかも汝はわが家、わが住居を、われならぬ他の者に与えた。かくてわが神聖を顕示するものが、彼自身の住家(すみか)をさがし求むる時はいつも、そこに見知らぬ者を見出し、宿るに家なく敬愛さるる者の聖所に急ぎ帰るのであった。しかもわれは汝の秘密を隠くし、汝の恥になることを欲しなかった。

28

二十八 おお欲望の真髄よ!

超空間の国から、われ幾朝(いくあさ)も汝の住家(すみか)に向った。そして安楽の床上にあって、われならぬ他の者たちの応対に忙しい汝を見た。それゆえわれらは心霊の閃光の如く、天の栄光の国に帰った。また、われ、わが天上のかくれ家にて、それを聖なる軍勢に、ささやかなかった。

29

二十九 おお恩恵の子よ!

無のくずより、わが命令の粘土もて、われ汝を出現させた。そして汝を訓練するために、存在するあらゆる原子と、あらゆる創造物の本質を定めた。かくて汝が、汝の母の胎内より生れ出づる前に、われ汝のために、輝く乳汁(ちち)を出す二つの泉と、汝を見守るために眼(まなこ)を、 汝を愛するために心を前もって定めておいた。わが慈悲心から、わが慈愛の木蔭で、われ汝を育て、わが恵みと好意の精髄もて汝を守護した。総てこれらのこと は、汝をして、わが永遠の国土に達せしめ、わが見えざる贈与を受ける資格を持たしめるためである。しかもなお汝は軽率にしていた。そして汝成年に達せる 時、総てのわが贈物を無視し、汝自らの愚かしき妄想に没頭し、かくて汝は全く忘れ易くなり、わが敵の邸に住むために友の門より背き去った。

30

三十 おお人の子よ!

わが僕が汝に求むることは何事も拒むな。彼の顔はわが顔なれば、わが前にて恥じよ。

31

三十一 おお地の子よ!

汝われを得んと欲せば、われ以外の誰をも求むるな。また汝わが美を見つめんと欲せば、世界とその中にある総てのものに汝の眼(まなこ)を閉じよ。わが意志と、われ以外のものの意志とは、火と水の如く、一つの心の中に住むことを得ざれば。

32

三十二 おお助けられた見知らぬ者よ!

汝の心の燭火(しょくか)は、わが権威の手で灯もされている。自我と情欲の逆風もて、それを消すな。汝のあらゆる病いを癒すものは、われを記憶するところにある。それを忘るな。わが愛を女の宝となし、汝の眼(まなこ)や生命そのものの如く、それをいつくしめ。

33

三十三 おおわが兄弟よ!

わが蜜の如き舌より発する楽しき言葉を聞け。わが甘き水を出す唇から聖なる神秘の流れを飲め、わが神聖な叡知の種子(たね)を、汝の心の清き土に蒔き、確信の水をそれにそそげ。さればわが知恵と叡知のヒヤシンスは、汝の心の聖なる市(まち)に、あざやかに青々と萌え出でん。

34

三十四 おおわが楽口の住民達よ!

慈悲の手もて、われ汝らの愛と友情の若木(わかぎ)を、天国の聖なる花園に植え、わがやさしき恵みの雨を注いだ。その果実の実る時が来ている今、それを護り、欲望と情欲の焔(ほのお)もて焼き尽くされることなきよう努めよ。

35

三十五 おおわが友等よ!

汝等誤りの灯を消せ。そして汝等の心の中に聖なる導きの永遠に消ゆることなき灯火を燃やせ。やがて人類の試験者等は、敬慕(けいぼ)さるる者の聖き面前において、最も純潔なる美徳と汚れなき神聖なる行い以外には、何も受けつけぬであろう。

36

三十六 おお塵填の子よ!

賢者とは聞く者を得ざれば語らぬ人々のことである。あたかも酌取りが、求むる人を見出すまでは、その盃を提供せず、愛するものが愛さるるものの美を見るまでは、その心の底より大声で呼ばぬ如くに。それ故知恵と叡知の種子(たね)を心の清き土に蒔き、それを聖なる叡知のヒヤシンスが、泥や土からでなく、心の畑より萌え出づる時まで隠しておけ。

書簡の第一行目にそれは記されており神の礼拝堂の聖域内にかくされているものは次のことである。

37

三十七 おおわが僕よ!

消滅するもののために永遠の国土を見捨てるな。また世俗の欲望のために天上の主権を放棄するな。これは慈悲深きもののペンの源泉より流れ出づる永遠の生命の川である。それを飲む人々に恵みあれ。

38

三十八 おお心霊の子よ!

汝の籠をずたずたに破れ。そして愛の不死鳥の如く聖なる天空に舞い上がれ。汝自身を捨てよ。そしてあふるる慈悲の心もて、天上の聖なる国土に住め。

39

三十九 おお塵埃(じんあい)の子孫よ!

過ぎ行く一日の安らかさに満足して、永遠の安息を奪われるな。永遠の歓びの花園を、死すべき世界の塵の山と交換するな。汝の牢獄から起ちて、天上の輝かしき牧場へ昇れ。また汝の死すべき鳥籠より、超空間の楽園に飛び立て。

40

四十 おおわが僕よ!

この世の束縛より自由になれ。また自我の牢獄より汝の魂を解き放て。汝の好機を掴め。そは再び汝を訪わざれば。

41

四十一おおわが侍女の子よ!

汝不滅の主権を見れば、儚なきこの世から逃がれんと努むるならん。されど汝から前者をかくし後者を示してあることは、心の清きもののみが理解し得る神秘である。

42

四十二 おおわが僕よ!

悪意より汝の心を清めよ。また妬みを持たず、天の聖なる宮廷に入れ。

43

四十三 おおわが友等よ!

汝 ら友のよく好みたもう道を歩め。そして彼の喜びは彼の創造物の喜びの中にあることを知れ。即ち何人も友の好まぬ時に彼の家に入ってはならぬ。またその財宝 に手を触れることもせず自己の意志を友の意志より優れりともせず、また決して友より有利ならんことを求めてはならぬ。これを熟考せよ。汝等識見(しきけん)ある人々よ!

44

四十四 おおわが玉座の伴侶よ!

悪 しきことを聞くな。また悪しきものを見るな。汝自らを卑しくするな。歎き悲しむな。悪しきことを語るな。さればそれが汝に語られることもなし。他人の過ち を誇張して語るな。されば汝自らの過ちも大げさに思われず。何人の屈辱をも望むな。されば汝自らの屈辱もさらされまい。かくて汝はかなき一瞬よりも短き汝 の生涯の日々を、汚れなき心と清き心情と純潔なる思想と、また汝の聖められたる性格とをもちて生きよ。されば汝自由に満足してこの死すべき形骸を放棄し神 秘なる楽園に行き、永遠に不滅なる王国に永久に住むを得ん。

45

四十五 ああ!ああ!俗界の欲望を愛する者等よ!

稲妻の如く速やかに汝等は敬愛さるるものの傍らを過ぎ去った。そして汝等の心は悪魔のようなる幻想を切望した。汝等は空しい幻影の前にひざまずき、それを真実と呼んでいる。汝等は眼(まなこ)を茨棘(いばら)の方に向けて、それを花と呼んでいる。一息と雖(いえど)も汝等は清い呼吸をしたことがない。また汝等の心の牧場から世俗超脱の微風が吹いて来たこともない。汝等は敬愛さるるものの愛の忠言を風に飛ばせた。またそれを汝らの心の書簡から完全に抹殺した。かくて野の獣の如く、汝等は欲望と情欲の牧場の中に住まっている。

46

四十六 おお信仰の道の兄弟等よ!

何故(なにゆえ)に 汝等は敬愛さるる者について語ることを怠り、彼の聖なる面前に近づくことを避けるや。美の真髄は類なき楼閣の中なる栄光の玉座の上にある。しかるに汝等は 愚かしき争いに没頭している。神聖なる甘き香りは漂い、恩恵のそよ風は吹いている。しかも汝等は皆それを奪われ痛ましくも悩んでいる。ああ汝等と汝等の道 に入って汝等の後に従う人々悲しいことよ。

47

四十七 おお欲望の子等よ!

虚栄の衣を脱げ。傲慢(ごうまん)の衣服を捨てよ。紅玉(こうぎょく)の書の中に記載されている最も神聖なる第三行目に、見えざるもののペンによって次の如く示されている

48

四十八 おお兄弟等よ!

互に忍耐し合え。また下界のものに愛情を注ぐな。汝の栄誉を誇るな。また屈辱を恥ずるな。わが美にかけて誓う!われ塵挨(じんあい)より総てのものを創った。またわれ総てのものを再び塵挨(じんあい)に帰せしめん。

49

四十九 おお塵撲の子等よ!

富めるものに、貧しきものの真夜中のため息を知れ。軽率が彼らを破滅の道に導かざるため、また富の木より彼等を奪わざるために。施与(さよ)と寛大とは、わが属性である。わが美徳をもって自己を飾るものは幸いである。

50

五十 おお激情の真髄よ!

総ての貪欲を捨てて満ち足りることを求めよ。貪欲なるものは常に奪われ、満足を知るものは常に愛され称讃されん。

51

五十一 おおわが侍女の子よ!

貧 困にわずらうな。富に信頼するな。貧困には富が次ぎ、富には貧困が次ぐものなれば。されど神以外のすべてのものに貧しくあることは驚くべき賜物である。そ の価値を軽視するな。結局は、それは汝を神で富ましむれば。かくて汝「げに汝等は貧者なり」という言葉の意味を知り、また「神こそ総ての所有者なり」とい う聖語は、まことの朝の如く、愛さるるものの心の地平線から堂々と輝き出で、富の玉座の上にしっかりと止まるであろう。

52

五十二 おお怠慢と欲情の子等よ!

汝等はわが家に、わが敵が侵入するのを許し、わが友を追出した。汝等われならぬ他の者の愛を汝の心の中に安置したれば。友の言うことに耳を傾け、彼の楽園に向え。自らの利益に汲々(きゅうきゅう)た る世俗の友等は互に愛し合うように見える。されどまことの友は汝等自身のために汝等を愛して来たし、また愛している。まことに彼は、汝等を導くために、限 りなき苦しみを受けて来た。かかる友に不実であるな。いやむしろ、彼のもとへ急げ。これこそ総ての名前の主のペンの地平線上に明け初めた真理と誠実の言葉 の暁の明星である。汝の耳を開け。されば汝等危急の時の救助者にして自存(じそん)する神の言葉を聞き得ん。

53

五十三 おお汝等消減すべき富に傲(おご)る者等よ!

まことに汝等、富は求むるものと、その者の欲求との間、また愛する者と愛さるる者との間の強大な障壁であることを知れ。富める者は、極く少数の外は決して彼のい給う宮廷にも達せず、また満足と服従の市(まち)にも川らないであろう。自分の富によって永遠の王国に入ることを邪魔されず、またそれによって不滅の領土を奪われない富者は幸いである。最大の御名にかけて誓う!かかる富者の光輝(こうき)は、太陽が地上の人々を照らす如く、天上の人々を照らすであろう。

54

五十四 おお汝等地上の富者よ!

汝らの中にいる貧者は、わが信任者である。汝らわが信任する者を守れ。そして汝等自身の安楽にのみ熱中するな。

55

五十五 おお激情の子よ!

富の汚れより汝自身を清めよ。また全く安らかに貧の国に進め。かくて世俗超脱の源泉より不滅の生の美酒を飲まん。

56

五十六 おおわが子よ!

不信心なる者との交際は悲しみを増す。されど正しき者との親交は、心の錆(さび)を除く。神との親交を求むる者は、神の愛する者達と交わり、また神の言葉を傾聴(けいちょう)せんと欲す者は神の選べる者等の言葉に耳を傾けよ。

57

五十七 おお塵挨(じんあい)の子よ!

注意せよ!不信心なる者と共に歩むな。また彼と交わらんことを求むるな。かかる交際は、心の輝きを地獄の火に変えるものなれば。

58

五十八 おおわが侍女の子よ!

汝聖霊の恵みを求むるならば、正しき者と交われ。彼こそは不死の酌取りの手より、永遠の生命の盃を飲んだ者であり、まことの朝の如く、死者の心をも生き返らせ、またそれを照らすものなれば。

59

五十九 おお軽率なるもの等よ!

心の秘密が隠されていると思うな。否、むしろそれ等は確かに明瞭なる字もて刻まれ、神の御前に公然と現わされていることを知れ。

60

六十 おお友等よ!

まことにわれ言う。汝等が心の中に何を包み隠そうとも、われには太陽の如くあからさまに分っている。しかもそれが隠されてあることは、わが慈悲と恩恵の故であり、汝の功績ではない。

61

六十一 おお人の子よ!

わ れわが慈悲の底知れぬ海より、一滴の水を、この世界の人々の上に注いだ。されど、誰もそれをかえりみるものがなかった。それは総ての人々が天上の統合の美 酒から不潔なる腐った酒粕(かす)の方へ目を向け、死の盃(さかずき)に満足して、不滅の美の聖盃を捨てたためである。彼がそれに満足するとは下劣なこと である。

62

六十二 おお塵埃(じんあい)の子よ!

永遠不滅の敬愛さるる者の類なき美酒から汝の眼(まなこ)をそらすな。そして不潔なる朽つべき酒粕に汝の眼(まなこ)を開くな。聖なる酌取りの手より不滅の生命の聖盃を取れ。されば総ての知恵が汝のものとならん。また見えざる国より不思議なる呼び声を聞くを得ん。大声に叫べ。汝等志の低き者等よ!汝等何故(なにゆえ)に、わが聖なる不滅の酒より眼(まなこ)をそらせて、儚き水の方に向うや。

63

六十三 おお汝等世界の人々よ!

まことに不慮の災難が汝を追い、悲しき報いが汝を待伏せしていることを知れ。汝の行なえる行動が、わが眼(まなこ)より消されていると思うな。わが美にかけて誓う!汝等のなせること総てを、わがペンは橄欖石(かんらんせき)の書に、明らかなる文字もて刻みしことを。

64

六十四 おお地上の圧制者等よ!

圧制より汝等の手を引け。われ如何(いか)なる者の不正も許さじと誓いたれば。これわが保管中の書に変更することのできないものとして定め、わが栄光の封印もて閉じたる聖約である。

65

六十五 おお反逆者等よ!

わが寛容は汝等を大胆にし、わが長き忍苦は汝等を怠慢にした。かくて汝等は激情の火の馬に拍車をあて、破滅へ導く危険な道に飛び出した。汝等われを不注意にして気づかぬと思いしや。

66

六十六 おお移住者等よ!

舌はわれを語るために、わが立案せしものである。悪口をもって、それを汚すな。汝等自我の火によって襲われた時は汝等自身の過ちを思い出し、わが創りし者等の過ちを思うな。汝等は総て自身を他の人々より一層よく知る故に。

67

六十七 おお空想の子等よ!

まことに汝等輝かしき朝が、永遠に聖なる地平線上に明け初める時、夜の暗闇の中で犯された悪魔の秘密も悪行も、世界の人々の前に暴露され明示されることを知れ。

68

六十八 おお塵壌に芽ぐむ雑草よ!

何故(なにゆえ)に汝の汚れたるこれ等の手は、まず汝自身の衣服に触れざるや。また何故(なにゆえ)に欲望と激情とに汚された心をもちて、汝われと親しく交わり、わが聖なる国に入らんとするや。汝等は汝等の欲するところよりははるかに遠くかけ離れている。

69

六十九 おおアダムの子等よ!

聖き言葉と純潔にして善き行いは、聖なる栄光の天国に昇る汝等の行いを自我と偽善の塵挨(じんあい)より清め、栄光の宮廷にて恩寵を受けるべく努めよ。やがて人類の試験者等は、拝さるるものの聖なる御前にて、完全無欠なる美徳と汚れなき純潔の行為の他は何ものも受けつけぬであろう。これこそ,神意の地平線上に輝き出た叡知と聖なる神秘の太陽である。

それに向うものに幸あれ。

70

七十 おお煩悩の子よ!

喜 ばしきは実在の国である。汝もしそこに達するならば。輝かしきは永遠の領土である。汝もしこの死すべき世を乗り越えるならば。快きは聖なる恍惚の境であ る、汝もし天上の若者の手より神秘なる聖盃を飲むならば。汝この段階に到達するならば、滅亡と死と、労苦と罪より解放されん。

71

七十一 おおわが友等よ!

汝等ザマンの聖なる境内にあるパラン山に、われと共に入りしあの聖約を思い出せ。われ天上の群衆と永遠の市(まち)の住民達に証明して貰った。しかも今や誰一人として聖約に忠実なるものを見出さず確かに傲慢(ごうまん)と反抗が聖約を人々の心より消し去り、かくてその痕跡さえも残ってはいない。しかもこのことを知りながら、われは待ち、これを公表しなかった。

72

七十二 おおわが僕よ!

汝はよく鍛え上げられ、暗い鞘(さや)に封じこめられた剣の如きものであり、その剣の価値は職人には隠されている。それ故自我と俗望の鞘(さや)より抜け出でよ。さらば汝の真価は輝き出で全世界に明らかとならん。

73

七十三 おおわが友よ!

汝はわが聖なる天空の昼の星である。世の汚れにより汝の光輝(こうき)を蔽い消すな。無思慮のべールを寸断せよ。されば汝雲の蔭より輝き出で、あらゆるものを生命の衣もて装わん。

74

七十四 おお虚栄の子等よ!

儚なき主権のために、汝等はわが不滅の国土を見捨てた。また世俗のきらびやかな装いもて身を飾り、それを汝等の誇りとしている。わが美にかけて誓う!われあらゆるものを一色の被いである塵埃(じんあい)の下に集め、これらのあらゆる異った色彩を、わが選びし色として、あらゆる色より清められたるものの他は総て消し去らん。

75

七十五 おお怠慢の子等よ!

滅ぶべき主権に愛着するな。またその中にて喜ぶな。汝等は梢(こずえ)にて自信満々と囀(さえず)る軽率なる小鳥の如きものである。突然猟人なる死が、それを塵挨(じんあい)の上に射ち落し、そのメロディも、その形も、またその色も消え去り、痕跡も残らないであろう。されば心せよ、おお欲望の奴隷等よ!

76

七十六 おおわが侍女の子よ!

導 きは、いままではずっと言葉によって与えられたが、今やそれは行為によって与えられる。何人も純潔にして聖き行いを示さねばならぬ。言葉は同様に総てのも のの財産である。しかるに、かかる行いは、わが慰する者達のみのものである。されば汝等の行いによりて、見分けられるよう心魂を打ち込んで努力せよ。かく の如くわれはこの聖く輝かしき書において汝に忠言する。

77

七十七 おお正義の子よ!

夜 のうちに不滅なるものの美は、忠誠の新緑の丘より、サドラトゥル・モンタハヘ行ってさめざめと泣いた。彼の悲しむ様を見て天上の群衆も、天国の住民達も貰 い泣きしたほどであった。そして何故かくも歎き悲しむやと問われた時、彼は答えた。命じられた如く、われ忠誠の丘にて期待して待てり。されど地上の住民達 より誠実の香りは匂い来らず。かくてわれ帰るよう召されし時、われは見ぬ、見よ!ある聖なる鳩等は、地上の犬等の爪に甚だしく苦しめられたるを。そこで天 の侍女は彼女の神秘なる家よりべールを脱ぎすて、光り輝きつつ走り出で、彼等の名を尋ねた。すると一つを除く総ての名が告げられた。せき立てられて残りの 一人の第一の文字が語られた。そこで天上の館に住む人達が栄光の住居より駈け出した。第二の文字が述べられた時、彼等は一人残らず塵埃(じんあい)の上に平伏した。この時最奥(さいおく)の神殿より一つの声あり、曰く「これまでは、されどもうこれ以上は断じて」。まことにわれ彼等がなせること、またなしつつあることの証人とならん。

78

七十八 おおわが侍女の子よ!

慈悲深き者の舌より聖なる神秘の流れを飲め。また聖なる言葉の曙光(しょこう)より知恵の昼の星の明らけき輝きを見よ。わが聖なる知恵の種子(たね)を、心の清き土に蒔き、確信の水をそそげ。されば知識と知恵のヒヤシンスは、心の聖き市(まち)より生々した緑の芽を出さん。

79

七十九 おお欲望の子よ!

汝いつまで欲望の国土で飛ぶや。わが汝に与えし翼は、神秘なる神聖の国土へ飛ぶためにして、悪魔の幻想の領域を飛ぶために非らず。わが汝に与えし櫛もまたわが黒髪をくしけずるためにして、わが咽喉を引きさくためにあらず。

80

八十 おおわが僕よ!

汝 等はわが花園の樹である。汝等自身と他のものの利益のために、立派なる素晴らしき果実を結ばなければならぬ。かくて技術及び職業に従事することは万人の義 務である。そこにこそ富の秘訣があるからである、おお理解力ある人々よ。結果は手段に依存し、神の恩恵は汝等に全く十分であろう。果実を結ばぬ樹は焼かれ てきたし、また永久に火にくべられるであろう。

81

八十一 おおわが僕よ!

地上において、果実を結ばぬ人々こそ最も卑しいものである。またかような人々は、まことに死人の仲間とみなされている。否、神の眼(まなこ)には、これらの怠惰にして価値なき者よりも死者の方がましである。

82

八十二 おおわが僕よ!

すべての世界の主なる愛の神のために、職業によって生計を得、自らとその同族のために、それを費う者達こそ最も善き人々である。

言 葉のベールの下に、これまで隠されていた神秘にして素晴らしき花嫁は、輝かしい光が敬愛さるる者の美によって放たれたる如く、今や神の恵みと聖なる恩寵に よって現わされた。おお友等よ!恩恵は完全であり、論証は満たされ、証拠は現わされ、また証明は実証されたことを証言する。今や世俗超脱の道に於ける汝等 の努力は、何を示さんとするかを見よう。かくて聖なる御恵みは、汝等と、また天と地にある者等に十分与えられている。すべての世界の主なる神に御栄えあ れ。

Bahá'u'lláh

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