The Universal House of Justice
Ridván 2010
To the Bahá’ís of the World
Dearly loved Friends,
レズワンという最も喜ばしい祝日の始まるこの時期に、地球上の各大陸で新たに多数の「成長のための集中プログラム」が始まっております。その結果、世界中のIPGの総数は1500を超え、五年計画の目標を一年も早く達成できたことを、バハオラの信徒たちへの心からの賞賛と、大いなる喜びを持って発表いたします。我々はこの驚くべき、この極めて重要な勝利に対して神に感謝し、頭をさげております。これで丸一年をかけて各地で確立されている拡大と強化のパターンをさらに強めることができ、バハオラの共同体には次期グローバル計画の目標を達成するための準備期間が与えられました。これまで現場で苦労してきた方々はその恩恵をありがたく受け止めることでしょう。なお、次期5年計画は「隊をなす集団加入」の促進という明確な目標をもった一連の計画の5番目になります。
2 我々はこの祝いの時期に一息つきながら、次のことをはっきりさせておきたいと思います。すなわち、この数値的な達成は確かに驚くべきものですが、それよりも、我々の心にこれほどの誇りと感謝の念を引き起こしたものは、むしろこの達成が示すもっと深い共同体固有の文化のレベルで起こったいくつかの進展の組み合わせです。それらの進展の中で最も重要なのは、バハイの友らが精神的な課題について、またバハオラとその啓示について人々と気楽に話をする能力を高めたことです。彼らは、気前よく分け与える、寛大な人生にはティーチングが不可欠であるということをしっかりと理解しているのです。
3 我々は、最近幾つかのメッセージで、世界各地でティーチングのペースが確実に上がっていることに喜びを表しています。個々の信者がこの基本的、かつ精神的義務を果たすことは、常に、バハイ生活の不可欠の要素です。1500の成長のための集中プログラムの確立によって、一般のバハイがいかに勇敢に、また明白な意識をもって、自分の身近な家族や友人の枠を超えて、すべてに慈悲深い御方の導きの御手にすがり、心の準備ができている人を、たとえその人たちがどこに住んでいようとも、探し出していくという姿勢が明らかになったのです。どう控えめにみても、何万人ものバハイが、それまでは見ず知らずだった人々と共通の理解に基礎を置く新しい友情の絆を結ぶための定期的キャンペーンに参加していると考えられます。
4 信者たちにとって、ルヒ・インスティチュートのBook 6にあるバハイ紹介の実例は、バハイの基本を平易に、かつ明確に伝えるうえでとても役に立っています。その実例の根底にある論理を理解して、これを形式化させることがないようにすれば、これを通じで2人の人の間に特別な会話が生まれるでしょう。その会話の特徴はお互いの理解の深さや、それが生み出す人間関係の質にあります。そのような会話が最初の出会いからずっと続き、また真の友人関係が築かれるにつれて、このような直接的な布教活動は、持続的な精神的変革のプロセスを引き起こすきっかけとなり得るのです。そのような新しい友達との出会いが、すぐにバハイ共同体のメンバーに誘う機会を提供するか、それとも共同体の一つの活動への参加を招待する出発点になるのかは大した問題ではなく、もっと重要なのは、バハイ共同体と一緒により良い社会の建設に貢献したいと思う人は誰でも歓迎されるということです。人類への奉仕の道を歩み始めれば、やがては正式に仲間に入ってくるでしょう。
5 この進展の意義を過小評価してはなりません。一貫した行動パターンが定着したクラスターにおいては、同僚や知り合いとのネットワークを活用してそれを更に拡大するよう努めると同時に、エネルギーを特定のより小さな地域にしぼって注ぎこみ、集中的な活動を展開させることも必要です。都会のクラスターでは、そのような活動の範囲は一町内になるかもしれません。田舎であれば、小さな村が適切な規模の対象地域となるでしょう。その地の住民であれ、布教旅行者であれ、こういった所で活躍する人々は共に、その活動を「共同体作り」と位置づけるべきです。地域住民との最初の出会いが予告なしの戸別訪問という形をとったとしても、そのティーチング活動に「戸別訪問」というレッテルを貼ることは、その活動を正当に評価したことにはなりません。なぜなら、その活動の目的は、その地域の住民に自らの精神的、社会的、知的発展を自主的に推し進めるための能力を高めることにあるからです。このプロセスを促進する種々の活動、つまり新しく出会う友らに参加を呼びかける4つの活動——すなわち、共同体に敬いと謹みの姿勢を強める活動、子供たちの優しい心を養う活動、ジュニア・ユースのあふれんばかりのエネルギーを導く活動、すべての人に開放され、多様な背景の人々がバハイの教えを個人や集団生活に適用させる方法を、対等な立場で探るスタディ・サークル——を継続させるため、しばらくは外部の援助が必要になるかもしれません。しかし、近い将来には、これら核となる活動を増やすための人材はその町か村の住民たち、つまり自分の周りの物質的、精神的状態の改善を願う男性や女性たちで支えることが前提です。バハオラの新しい世界秩序の実現を決意した、核となる人の数が増えると、その能力に応じてその共同体生活に次第に新しいリズムが生まれてきます。
6 この文脈の中で「感受性」は、核となる活動によって動き出した共同体作りのプロセスに進んで参加する気持ちとして現れます。現在、成長のための集中プロジェクトがすでに始まっているクラスターでは、今年の課題はそのような感受性が見られる特定階層の一つ、あるいは複数の集団に布教し、直接的にバハイの根本を説明して、社会が彼らに押し付けている無気力を捨て去り、自分たちの町や村を共同で変革させるプロセスに参加したい人々を探し出すことです。もし友らが、このようにして小規模での共同体作りの手段やノウ・ハウを根気よく学んでいけば、信教における「全員参加」という待望の目標は大いに近づくと我々は確信します。
7 この課題に応えるために、信者たちと彼らをサポートする諸機構はクラスター内のインスティチュート・プロセスを強化し、スタディ・サークルを担当できる人材を大きく増やさなければなりません。なぜなら、現在、こうして強い目的意識をもって町や村に活気あふれる共同体生活を発展させて行くことができるのは、この十年間、「強化」に関するバハイ文化に極めて重要な進展があったからであることを認識すべきです。
8 1995年12月に、我々が世界中でトレーニング・インステイチュートを確立するよう呼びかけた時、信者たちの信教についての知識を深める助けとして最も普及していたパターンは、様々なテーマについて、不特定の期間にコースやクラスを提供することでした。まだ数的にも限られていて、信教の地理的普及が主な関心事であった当時のバハイ世界共同体のニーズを満たすには、それで十分でした。しかし、隊をなす加入のプロセスを目に見えるほどに加速させるには、バハイの書の学習のための別のアプローチがなくてはならないということを我々はその時に明言しました。それは、大人数の人々を行動の場へ駆り立てるようなアプローチです。これに関連して、我々はトレーニング・インスティチュートに次のことを求めました。つまり、加速的拡大と強化を伴う多くの仕事を遂行するのに必要な知識、洞察、技能を伝えるコースを提供して、大業に奉仕する信者の数を途絶えることなく増やすための援助をすることです。
9. 信教の書を読み、バハオラの素晴らしい啓示の意義をより適切に理解するよう努めることは、信奉者各自に課された義務です。すべての信者は、バハオラの啓示の大洋を探究し、能力と関心に応じて、そこに潜む英知の真珠を自分のものとするよう命ぜられています。この視点からすると、書物に造詣の深い信者が特定のテーマについて自分の洞察を分かち合う特別な集まり、あるいは地方のディープニング・クラスや夏期、冬期学校などが自然に現れ、バハイ生活を特徴づけました。今後とも日々、書を読むという習慣がバハイとしてのアイデンティティの不可欠な部分として残るように、このような形態の学習も共同体の集団生活の一部として残るでしょう。しかし、個人の成長と社会的発展の両方の意味で、啓示についての理解は、学習と奉仕が一つになり、平行して実行されるとき何倍にも増えます。この奉仕の場において、知識は試され、実践を通じて新たな質問が持ち上がり、新しいレベルの理解に達するのです。各国で確立されている遠隔学習の制度は、スタディ・サークルとファシリテータとルヒのカリキュラムを主体としますが、世界中のバハイ共同体は、何千、何百万という人が小グループでバハイの書を学習し、バハイの教えを実践に移し、信教の仕事を次の段階へと突き進める仕事をするための能力を得られるようにしたのです。次の段階とは、継続的で大規模な拡大と強化です。
10.このようにして作りだされた可能性をきちんと認識せねばなりません。現在社会に蔓延する現象により、人々の間には消極性と受け身な態度が増殖しています。もてなされたいという欲求は子供時代から育まれ、ますます効果的な手法が用いられるようになっています。その結果、浅薄な感情に訴えるのが上手な人に安易に付いていくという世代が生み出しています。多くの教育制度においても、学生たちは単に情報を詰め込む容器のように扱われています。対照的に、バハイ世界は、全員が共通の奉仕の道を歩んでいるという意識を培う考え方、学び方、行動のし方を促進する文化を確立することに成功しています。これは測り知れぬ意義をもつ達成です。このような文化では、皆が互いを支え合い共に前進し、各自がその時点で持っている知識を互いに尊重し合い、信者たちを知識や理解の深い人とそうでない人というような分類に分ける傾向は排除されます。抑制できない前進のエネルギーはまさにこのような文化の中から生まれてくるのです。
11.これからの一年間で必ず成し遂げるべき課題がここにあります。つまり、地元の人々がこのようなエネルギーを発生させる能力を習得するために、スタディ・サークルのレベルで培われた教育過程の質を向上させるということです。この点については、ファシリテータとして奉仕する人たちに多くの責任がかかります。彼らの課題は、インステイチュート・コースが目指している環境、各人に精神的な力を付与するに適した環境を創り出すことです。参加者は常に、自らの学びに責任を負い、修得した知識を個人と社会の変革に適用する努力を続ける主役として自分を位置付けることです。これができなければ、クラスター内にいくつスタディ・サークルを成立させても、変化に必要なエネルギーは産み出されないでしょう。
12.個々のファシリテータはより高い達成に向って常に努力すべきですが、その地域、あるいは国における人材開発の主な責任はトレーニング・インスティチュートにあることを忘れてはなりません。その参加者の数を増やす努力のかたわら、インスティチュートは組織として、理事会から全国や地域レベルのコーディネーター、草の根のファシリテータを含めた全体の効率に同じほど注意を注ぐべきです。なぜなら、数的な増加の維持は、最終的には質の向上に依存するからです。コーディネーターは、クラスターのレベルで、ファシリテータとして奉仕する人に同伴するという活動に、実用的な経験と活力を提供加えなければなりません。コーディネーターは、ファシリテータが自分の活動を見直すための定期的な集会を持つべきです。インスティチュートの教材からの部分的な抜粋を復習するという企画は時には役立つでしょうが、つねに訓練を繰り返す必要があるという考えが吹き込まれないようにすべきです。ファシリテータとしての能力は、実践の場に入り、他の人が一連の「計画」の目標達成に貢献できるよう援助することによって発達します。それは幹コースを学習し、それらの実践的な要素を実行することを意味します。ファシリテータの援助で老若男女が幹コースを進み、終了するにつれ、他の人たちは、その終了者がそれぞれの能力と関心に応じて実施する奉仕活動に同伴すべく準備していなくてはなりません。特に、子供クラスやジュニア・ユース・グループやスタディ・サークルのコーディネーターらはそうすべきで、これは、制度を維持するうえで必須の奉仕です。この制度全体に十分な生命力がみなぎるよう保障する必要があります。そして、それをどう保障するかは、引き続き次の12ヶ月間にあらゆる国で集中して学ぶべき課題です。
13 バハイ共同体は、常に、子供たちの精神的教育に強い関心をもち、これはバハイ共同体の文化の一要素として長年引き継がれてきましたが、そこには二つの異なった実態が平行して見られました。一つはイランのバハイたちの業績に見習ったもので、バハイ家族の子供たちに学年別に、系統的なクラスを提供する体制に特徴づけられます。その一般的な目的は成長途上にある若い世代に信教の歴史と教えについて基本的な知識を授けるというものでした。世界のほとんどの地ではそのようなクラスの恩恵を受けた人は比較的少数です。もうひとつの実態は、農村であれ都市であれ、大規模な加入が見られた地域で起こったものですが、その実態の特徴はよりオープンで、誰をも歓迎する姿勢に見られます。様々な家庭の子供たちが喜んでバハイ・クラスに参加し、同様に彼らの参加は歓迎されましたが、種々の理由で必要なだけの規則的なレッスンを何年かにわたって実施するということができませんでした。インスティチュートで訓練されたバハイたちが、至る所で、系統的に、皆に開かれたクラスを提供するよう努力するにつれて、歴史的状況の結果生じたこの二元性が払拭され始めたのを目にすることは何と喜ばしいことでしょう。
14 このように前途有望な第一歩は、今後、精力的に遂行されなくてはなりません。子供たちの精神的教育は、地域や村における共同体建設のプロセスを加速するための必要条件ですが、成長のための集中プログラムを実施しているすべてのクラスターは、多くの背景を持つ家庭からくる、たくさんの子供たちに精神的教育をより系統的に提供する努力をしなければなりません。これは、両親と機構の双方に忍耐と協力を求める、骨の折れる仕事です。ルヒ・インスティチュートは、既に、現存のレッスンと、ジュニア・ユースのための教科書との間のギャップを埋めるため、5~6歳の幼児に始まり10~11歳の子供まで続く、異なったレベルの子供クラスの教師を訓練し、それに対応するレッスンを含んだコースを完成させる計画を促進するよう求められています。現在、ジュニア・ユースのための教科書には、たとえば、この年齢層のためのプログラムにはっきりしたバハイ的要素を加えた「信仰の精神」や、近日中に出される「聖霊の力」があります。これらの追加コースやレッスンが利用可能になるにつれ、各国のインスティチュートは、学年ごとに配属すべき教師やコーディネーターを準備できるようになるでしょう。それらは、子供の精神的教育プログラムの核となり、二次的な要素はそれらを中心に整えられます。その間、インスティチュートは、既存する他の教材の中から、必要に応じて、異なった年齢の子供たちのクラスで使うのに適切な教材を提供するよう最善を尽くすべきです。
15 5年計画のゴール早期達成を保証する努力に決定的な勢いを与えた国際布教センターに対し、我々は変わらぬ感謝を捧げます。各大陸における進歩を精力的にフォローし、大陸顧問団と極めて密接に協力することを通じて国際布教センターがこの地球規模の事業にもたらしたエネルギーを目にすることは、行政機構に内在する巨大な力を垣間見るものでした。布教センターは今、クラスター・レベルにおける活動の有効性にかかわる課題に、同様の活力をもって目を向けるにあたり、バハイ子供クラスの実施に特別な考慮を払うことは疑うべくもありません。多様な社会の実態を代表するいくつかの選りすぐられたクラスターでこれからの一年間で得られる経験に対するその分析は、近接地域や村落において、あらゆる年齢の子供のための定期的なクラスの設立を可能にする実質的な課題に光を当ててくれると、我々は確信しています。
16 ジュニア・ユースの精神的な力を引き出すプログラムの急速な拡がりは、バハイ共同体におけるもうひとつの文化的な進歩の表れといえるでしょう。世界的な傾向は、この年齢層に対して、不確定で、劇的な身体的・感情的変化の苦悩の中で迷っている、無反応、自己に没頭しているなどというイメージをもっていますが、バハイ共同体はそれとは異なり、使用する言葉とアプローチにおいて、断固として逆方向に動いています。つまり、ジュニア・ユースの中に利他主義、敏感な正義感、森羅万象について学ぶ熱意、よりよい世界を建設するために貢献したいという願望といったものを見出します。このビジョンの正当性については、この地球上の国々のジュニア・ユースが、プログラムへの参加者として自分の考えを声にした記述の中で次々と証言しています。このプログラムは、彼らの精神的認知力を鋭敏にし、表現力を向上させ、人生で役に立つモラル構造を強化しながら、彼らの広がりつつある意識を、真理の探究に引き付けているという印が至る所に見出せます。その探求は社会で動いている建設的な力と破壊的な力を分析し、これらの力が彼らの思考や行動に及ぼす影響を認識するのを助けるものです。知的、精神的、そして身体的な力が花咲く年齢において、彼らは、崇高な存在という真のアイデンティティを彼らから奪う力と戦う手段や、また、公益のために働くうえで必要な手段を与えられているのです。
17 このプログラムの主な構成要素は、いろいろなテーマを、宗教教育の形態をとらずに、バハイの視点から探求するというもので、それがこのプログラムをさまざまな環境や状況にあるジュニア・ユースへ広げる道を開いてくれました。多くの場合、プログラムを実施する者たちは自信を持って社会行動の領域に足を踏み入れ、幅広い課題や可能性に遭遇していますが、それらは聖地にある社会経済開発局で世界的な学習プロセスを通してフォローされ、組織化されています。知識と経験の蓄積によって能力を高めてきた世界中のいくつかのクラスターでは、すでにそれぞれに1000人以上のジュニア・ユースのプログラム参加を支えています。社会経済開発局では、他のクラスターが迅速にこの方向に向って進展できるよう、一団の信者の援助のもとに何十ものクラスターのコーディネーターに訓練を行う拠点のネットワークを全大陸で構築しています。これらのリソースパーソンは、コーディネーターらが自分たちのクラスターに戻った後も彼らをサポートし続け、ジュニア・ユース・プログラムが定着するような精神的な力に満ちた環境を創れるようにします。
18 行動パターンはすでに明白ですが、この活動領域では、必ず、更なる知識が得られることでしょう。このプログラムに対する学校や民間団体からの求めにどれだけ応じられるかは、バハイ共同体の力次第です。現在、成長のための集中プログラムの焦点となっているクラスターの状況はさまざまに異なっており、2、3の散発的なジュニア・ユース・グループがある所から、学習の普及を目指した訓練拠点から継続的なサポートを受ける専任のコーディネーターの奉仕を必要とするだけの数を維持している所まで、多種多様です。これらのクラスターのすべてにこの能力が拡大するのを確実にするため、我々は、現計画の終了までに、それぞれが約20のクラスターを受け持ち、常勤のコーディネーターをかかえる32の学習拠点を設置するよう要請します。その他のクラスターでは、これからの1年で、プログラムを提供する能力を高め、グループの数を系統的に増やすことを優先させるべきです。
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19 上に述べた発展 – 直接的に信教を伝えるダイレクト・ティーチングの能力や、いろいろな職業を背景とする人々と精神的に重要な話題について有意義な会話を始める技術の向上、行動に結びついた聖典の学習の実践、村や近所の子供たちに精神的教育を定期的に提供しようという決意の更新、また、ユースに自分たちの潜在的能力の発展と社会変革への貢献といった二つの道徳的目的意識を植え付けるプログラムの影響の拡大 - これらの発展はすべて、バハイ共同体の文化のもう一つの発展によって多いに補強されます。そして、この発展は遠大な影響を及ぼすものです。それは共同体の意識の進化で、その進化は「付き添い」という言葉が友らの会話に頻回に現れる点に見られます。「付き添い」という言葉は、バハイ共同体の一般的な語彙に加えられると同時に、新しい意味を授けられます。それは、「付き添い」という考えの普及は「学び」を行動様式の基盤とする文化が相当に強められたことを示します。「学び」を行動様式の基盤とすることによって、バハオラの教えを神聖な文明の形成に応用するという統一した取り組みに十分な知識をもって参加する人々が育てられ、その数は増え続けます。守護者は、この神聖な文明の形成こそがバハイ信教の最も重要な目的であると述べられました。こうしたバハイ共同体のアプローチは、制圧や欲望、罪悪感、巧みな操作を通じて人々のエネルギーを結集しようとする、古い社会秩序でよく見る精神的に破綻し、崩壊寸前にあるやり方とは明らかに異なります。
20 バハイの友らの関係において、この文化の進展は彼らの交流のあり方や質に現われます。「学び」が行動様式として機能するためには、すべての参加者が謙虚な姿勢を保たなければなりません。この状態では、人は自己を忘れ、神に完全に信頼をおき、すべてを支え給う神の力に頼り、神の尽きない援助を確信し、神のみがブヨを鷲に変え、しずくを果てしない海に変えることを認識します。また、こうした状態では、人は常に共に働き、己の達成よりも他人の進歩と奉仕に喜びを感じます。そして、彼らはいつも互いに神の大業への奉仕という高さに達し、神の知識の天上に舞い上がれるよう助け合うことだけを考えます。これが、我々が現在、世界中で展開されている活動のパターンにみる姿勢、すなわち、若者や長老、古くからの信者と新しいバハイが共に手をとりあって活動している姿です。
21 この文化の進展は個人同士の関係に影響を与えるだけでなく、信教の行政活動にも影響を及ぼしています。学びの姿勢が共同体の行動様式になってくるにつれ、拡大と強化に関する意思決定のある部分は信者の集まりに任されるようになり、そうすることで、もっと地元の状態に合った計画と実施方法がとれるようになりました。たとえば、リフレクション・ミーティングはクラスター内で活動している者らが時々集って、自分たちの経験やバハイの機構からの指導に照らし合わせながら、現状について共通の認識に達し、その後の行動を決める場として設定されました。同様の場がトレーニング・インスティチュートです。これはクラスター内でファシリテータや、子供クラス担当者、ジュニア・ユース・アニメーターとして貢献している人々が集って、自分たちの経験について協議する場です。この草の根の協議過程にはトレーニング・インスティチュート、地域布教委員会、大陸顧問補佐が密接にかかわりますが、これら機関の合同での働きには、もう少し改まった形で成長について意思決定をするもう一つの場があります。クラスター段階におけるこの組織の働きは、差し迫った必要性から作られましたが、バハイの行政の重要な特徴を示しています。つまり、バハイの行政制度の構造とプロセス、関係と活動には、有機物と同様、万国正義院の指導のもとで進化するにつれ、ますます複雑な形態に成長しても、それに対応できる能力が体系の中に仕組まれているのです。
22 バハイ機構が、地方から地域、全国から大陸レベルのすべての段階で、こうしたますます複雑になる形態に敏速に対応できるようになったことは、それぞれの機構が着実に成長している徴であり、また成熟するための必要条件でもあります。行政機構間の関係が発展したお蔭で、地方精神行政会は神の言葉を広める、信者たちのエネルギーを呼び覚まして動員する、精神を満たすような環境を築く、といったような責任を果たす過程において、新しい段階の入口にたどり着きました。前にも説明したように、精神行政会の成熟度は会議の頻度と機能の効率だけでは評価できません。むしろ、その力は、概ね、その共同体の精神的・社会的生活の活性度によって計られます。なお、その共同体は、正式に信者として加入している者からだけでなく、加入してない者からの貢献も歓迎する、成長しつつある共同体であるべきです。現行のアプローチ、方法と手段を活かすことによって、新しい地方精神行政会でも担当地域で、5年計画において必要な条件を充分に満たすよう努力しながら、これらの責任を果せるようになっていることはとても喜ばしいことです。実際、精神行政会がこの計画に適切に取組むことは、大勢の魂を迎え入れる企画に必須の条件であり、また、大勢の魂を迎えることは、地方精神行政会の力と能力を完全に発揮するための必須条件です。
23 次の数年間で目撃するであろう地方精神行政会の発展は、全国精神行政会の強化によって可能にされます。全国精神行政会が戦略的に考え、行動する能力は明らかに増しています。特に、共同体建設の過程を、より高度な精度と効率性を持って、草の根レベルで分析し、必要に応じて、援助や励ましや愛情ある指導を提供しました。状況的にそれを必要とするいくつかの国では、全国精神行政会はその一部の責任を地域評議会に委譲しています。このことにより、行政的機能は分散化し、管轄内の地域の機構の能力は向上し、機構間の相互関係がより高度なものとなっています。現行の「計画」の目標達成に必要な最後のひと押しが、全国精神行政会の参加によって可能になったと言っても過言ではありません。そして次の5ヵ年事業に向けて、共同体を準備させるにあたり、残りのつかの間でかつ重大な期間、大陸顧問と共に努力を続ける間、この方向にさらなる発展が期待されます。
24 疑いもなく、過去10年間の大陸顧問機構の進展は、バハイ行政機構における最も顕著な進歩のひとつです。この機構は、2001年1月にカルメル山で国際布教センターが恒久的な建物の落成を記念する大会に大陸顧問と補佐が集まった時、すでに飛躍的な発展を遂げていました。この出来事が、顧問機構の急速な前進のためのエネルギーを放散したことは疑う余地もありません。顧問と補佐が計画の進展に及ぼした影響力は、ティーチング分野の最前線にある彼らの当然の地位に彼らが着いたことを示しています。来る一年で、行政秩序の諸機構が、その進化する機能と責務に応じて、学びのモードを強化するにつれ、さらに団結し、協力することを確信いたします。この学びのモードは、共同体の機能の顕著な特徴となりましたが、学びのモードの強化は、成長のための集中プログラムを実施しているクラスターにおいて特に急務です。
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25 バハオラの啓示は広大な広がりをもちます。それは個人に深遠な変革を求めるだけでなく、社会の構造の変革をも求めるものです。バハオラはこう宣言されました。「人類の性格を根本から変革させるのが、それぞれの啓示の目的ではなかったのか。その変革は、外面的にも内面的にも現われ、人類の精神生活にも外的環境にも影響を及ぼすものである」。世界各地で現在進行中の事業は、バハオラの教えに秘められた栄光に満ちた文明の核を構築するための最新段階のバハイの努力を示すものです。この事業は非常に複雑で、その規模は無限大です。それを完成の域にまでもっていくためには人類による何世紀もの努力が必要です。近道はなく、安易な方程式も存在しません。必要な学びが起こり必要な能力が開発されるには、バハオラの啓示から洞察を求める努力を重ねなければなりません;人類によって蓄積された知識を活用しなければなりません;バハオラの教えを人間の生活に知性をもって適用しなければなりません;そして、持ち上がる課題について協議をしなければなりません。
26 長い年月を要するこの能力開発のプロセスの中で、バハイ共同体は過去約15年間を布教分野での経験の系統化、特定の活動をより多くの人々に解放すること、拡大と強化の維持などの学びに費やしてきました。共同体はあらゆる人を暖かく迎え入れ、誰もがそこで生命を付与するバハオラのメッセージより心の糧を得ることができます。実に、真理を追求する魂が大業の要塞の中に避難所を発見し、聖約のもつ和合の力から威力を得ること以上の喜びはありません。しかし、バハオラの信奉者と数えられるか否かに関わらずあらゆる人間とあらゆる集団はバハオラの教えからインスピレーションを得ることができ、彼らの直面する課題に取り組むために有用な英知と知識の宝石の恩恵にあずかることができます。まさに、人類を待ち受ける文明は、バハイ共同体の努力のみでは達成できるものではありません。多くのグループや組織が、バハオラの人類一体性の概念の間接的な現われである人類連帯の精神に活気付けられています。彼らもまた、現代社会の混乱と動揺の中から出現することが運命づけられているこの文明に貢献するでしょう。連続する地球規模の計画を通じてバハイ共同体に多くの能力が創造されてきました。誰にでも明らかなように、この能力により、バハイ共同体は文明作りの多種多様な側面において以前にも増して力を貸すことが可能となっています。
27 我々は2008年のレズワン・メッセージで、クラスター・レベルでの努力を続ける中で、友らは次第に社会の生活により深く引き込まれ、自分たちが現在従事している系統的な学びのプロセスをより広い範囲の人間活動にまで広めるという挑戦に直面するだろうと指摘しました。人々の家庭が提供する親密な環境の中でディスカッションを織り交ぜた共同の祈りと礼拝が行われ、それが大人、ユース、子供を含めた共同体全員に精神的教育を提供する活動と織り合わされると、そこから豊かな共同体生活のつづれ織りが各クラスターに姿を現わし始めます。そこでは社会的意識が自然と高められます。例えば、親の間では子供たちが抱く抱負に関する活発な会話が盛り上がり、ジュニア・ユースの率先力で奉仕のためのプロジェクトが芽を出します。一つのクラスターの中に十分に豊富な人的資源が結集し、成長のパターンがしっかりと確立されると、共同体の社会とのつながりを拡大することが可能となり、また、そうしなければなりません。計画の実行が極めて重要な時期に差し掛かり、より多くのクラスターがこの段階に近づいています。各地の友らはこの時期をとらえ、社会の物質的、精神的発展のために、いきいきとした、成長し続ける自分たちの共同体がどう貢献できるか検討すべきでしょう。検討を続ける中で相互に連結し、互いに補強し合う二つの分野での活動を考察することは有益です。それは、社会行動への参画と、社会で広く行われている議論への参加です。
28 過去数十年間、バハイ共同体はこの二つの分野で多くの経験を積んできました。無論、個人として社会行動に参加し、職業を通じて社会的議論に携わるバハイも多くいます。バハイの教えに感化され、地方や国レベルで活動するいくつかの非政府団体も、社会経済開発の分野での努力を通じて人々の生活の向上に努めています。世界各地の全国精神行政会のもとで活動する多くの機関は、様々な方法を通じて公共の福祉に資する考え方を促進しています。国際レベルでは、バハイ国際共同体国連事務局のような機構が同じような機能を果たしています。共同体の草の根レベルで働く友らは、周囲の社会の関心事に向きあう中で、必要かつ望ましい範囲でこれらの経験や能力を活用することになります。
29 社会行動を一つの連続体と見ることができます。社会行動は個人や小さな友らのグループが実行する形式張らない期間限定の活動に始まり、バハイの教えに導かれた組織が実施する複雑かつ高度な社会経済発展プログラムにまでおよびます。その範囲と規模に関わらず、すべての社会行動は、それがいかに慎ましやかなものであれ、信教の教えと原則を人々の社会経済生活のある側面の改善に適用することを目的とします。したがって、これらの努力を際立たせるものは、人々の物質的な幸福と精神的な福利を向上させるというその公然とした目的にあります。人類の地平線上に待ち受ける世界文明は、人々の生活の物質的要求と精神的要求の間にダイナミックな一貫性を達成するものでなければなりません。これは、バハイの教えの中心にある考え方です。社会行動の影響力の範囲や領域に関わらず、この考え方はバハイの人々が追求するいかなる社会行動にも極めて重要な意味を持ちます。国ごとにそれぞれ状況が違い、クラスター同士でも状況が異なる可能性があります。これらの違いは、友らによる多種多様な努力を促すことでしょう。しかし、そこには友らの全員が念頭におくべき幾つかの基本概念があります。一つは、知識が社会的存在に占める中心的位置づけです。無知の継承は、圧制の最も嘆かわしい形の一つです。それは、バハオラの啓示の目的、かつ行動原理である人類の一体性、その実現を阻む偏見の壁を強化するものです。知識を得ることはすべての人間の権利です。そして、知識の創造、活用、普及に参加することは、豊かな世界文明の構築に向けた大事業の中ですべての人間が自己の才能と能力に合わせて担うべき責任です。正義は全員参加を要求するものです。したがって、社会行動はある種の資財やサービスの提供を伴うのですが、その主な関心は、ある地域の人々がより良い世界の建設に参加できるよう、その能力を育てることにおかれなければなりません。社会変革は、あるグループの人々が他の人々のために実行するというような性質のものではありません。社会行動の推進には、その行動の範囲や複雑さがその村や地区の人的資源と釣り合っていることが不可欠です。ですから、小規模で始め、地元の人々の能力の向上に沿って有機的に成長させるのが最善の策です。社会変革の当事者たちが自分たちを取り巻く社会的現実に、バハオラの啓示の要素と、科学的要素や方法をより効果的に適用させることを学べば、人々の能力は、当然、新たな水準に高められます。彼らは、この社会的現実をバハオラの教えと一致した形で読み取るよう努力すべきです。つまり、自分の同胞を、測り知れない価値をもつ宝石と見なし、統合と破壊の二つのプロセスが人の心と精神、そして社会の構造に及ぼす影響を認識する必要があるのです。
30 効果的な社会行動は社会の論議への参加を豊かなものとし、同様に、ある種の論議に参加することによって得られる洞察は社会行動を形作る概念を明確にします。クラスター・レベルでの社会的論議への参画はバハイの考え方を日々の会話を通じて紹介するという簡単な活動から、気候変動と環境、ガバナンスと人権などといった社会的関心事に関わる記事の執筆や会合への出席などのより公式な活動にまで及びます。同様に、それは各村や地区で活動する市民団体や地元組織と有意義な交流をもつことを意味します。
31 これに関連してここで一つの警告を発する必要があると我々は考えます。社会行動と社会的対話への参加の価値は、決して、入信者を増やす能力によって判断されるものではないことをすべてのバハイが認識することが重要です。この二つの活動分野での努力は、バハイ共同体の規模拡大に影響を及ぼすかも知れませんが、それが目的ではありません。ここで求められるのは誠意です。さらに、バハイの経験を誇張したり、ジュニア・ユースの精神的強化プログラムのような発展の途上にある活動に必要以上の関心を引きつけたりしないよう注意すべきです。これらのプログラムについては独自のペースで成熟するのを見守るのが最善です。いかなる場合においても、友らの合い言葉となるのは、謙虚さです。友らは自分の信念に対する熱意を伝えつつも、他の人に勝利主義的な優越感を感じさせることがないよう警戒すべきです。このような態度はバハイの同士の中でも不適切ですが、ましてやその他の状況では一層そうです。
32 クラスターのレベルで現在出現しつつある新しい機会について述べましたが、このことは皆さんに現在の方向性の転換を求めるものではありません。これらの機会は、決してインスティチュート・プロセスの代わりとなる奉仕の分野を提供するものではなく、共同体の限られた資源やエネルギーをめぐって拡大と強化の仕事とが競り合うと想像してはなりません。これからの一年間、すべての信者はインスティチュート・プロセスと、そこから生まれる行動のパターンを強化し続け、また、布教こそを最優先課題として心にとどめるべきです。さらに、社会の活動へのより深い関わりをあせってはなりません。それは自然に進み、あらゆるクラスターの友らが計画の内容を粘り強く実行した結果として得られる学びによって促進されます。その実行は、行動、評価、協議と勉強のプロセスを通じてなされます。社会の活動への関与は、共同体が自らの成長を促進し、その活力を維持する能力を徐々に高めるにつれて盛んになります。また、共同体の拡大・強化活動との一貫性は、現行の、一連の地球規模の計画を規定する概念的枠組みを構成する要素を活用する度合いに応じて保たれ、また、これらの要素を新しい学びの分野に創造的に活用する割合に応じて、バハオラのビジョンである、豊かで平和な世界文明へ向けた人々の動きに貢献するのです。
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33 親愛なる友らよ。親愛なる我らの師は、友らの心が互いに対する愛に溢れ、人々を分け隔てるあらゆる線引きを排除し、全人類を一つの家族と見なすことを切望すると幾度となく繰り返され、こう忠告されました。「人を異邦人と見なすことなく、万人を友と見なせ。何となれば、他との違いを凝視する間は、愛と和合の達成は困難である」。上で検討したすべての展開は、その最も深いレベルでは、精霊の威力によって達成される普遍の愛の表現以外の何ものでもありません。つまり、疎遠と分裂のすべてのヴェールを焼き尽くし、人々の心を完全な和合で結びつけるものが神に対する愛の他にありましょうか。神の愛以外に何が、あなた方を奉仕の場に進ませ、あらゆる魂の中に神を知り、神を礼拝する能力を認めさせるでしょう。神の顕示者が、人類に対する愛のために、苦しみに満ちた生涯に喜んで耐えられたことを知って、あなた方は活気付けられるのではないでしょうか。自分たちの同胞に目を向け、親愛なるイランのバハイの兄弟姉妹を見てみなさい。彼らは神の愛と、彼への奉仕に燃える意志の中から生まれる不屈の精神の模範となる人々ではありませんか。最も残酷で最も苦々しい迫害を超越することを可能にする彼らの能力は、圧制に苦しむ地球上の数知れぬ人々が立ち上がって神の王国を地上に建設する事業に決定的な役割を果たすための能力を有するという証拠となるものです。分裂を引き起こす社会的構成概念に阻まれることなく前進しなさい。あらゆる都会や農村、地球上の隅々で待ちわびている人々にバハオラのメッセージを届けなさい。そして、彼らをバハオラの共同体、最大名の共同体に引き寄せなさい。皆さんのことは常に我々の心と祈りの中にあります。あなた方が彼のすばらしい恩寵によって強化されるよう、我々は全能者に嘆願し続けます。
万国正義院
- The Universal House of Justice